秋篠寺の技芸天

結婚33周年の記念に奈良を旅した。今日は五木寛之が『百寺巡礼』で
「市井にひっそりとある宝石のような寺」と絶賛した秋篠寺を訪れた。
五木は「境内の雑木林の緑の深さ。木々の下に一面に敷き詰められた
ような艶やかな苔。これが、話に聞いていた秋篠寺の《苔庭》である。
その美しさに息をのむ思いがした」と書いている。
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秋篠寺は小さな寺である。本堂に日本ではここでしか見ることができ
ない技芸天の他に中央に薬師如来、その左右に日光菩薩・月光菩薩、
十二神将に不動明王、愛染明王、帝釈天、地蔵菩薩などがあるのだが
やはり一番左側の技芸天の存在感は大きいものである。
以前に東京か名古屋で技芸天を見ているのだが、今日は全く違う技芸
天であった。
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以前に見た時と見る視点が違っていた。今日は、照明も違っていた。
下から見上げた技芸天のやさしさと美しさに絶句した。その影をみると
かなり傾いている。左足にに重心を乗せて、上半身は前かがみになって
今にも歩き出しそうな感じである。
「桜香に 歩きだしそな 技芸天」という一句が浮かんだ。
五木寛之によると、秋篠寺は「生々しい政争のなかで生まれた寺」である。
皇位継承の悲劇に翻弄された寺ということである。五木は「あやしのあき
しの」と言っている。同じ悲劇が起こらないことを望むばかりである。
技芸天のとなりの地蔵菩薩の表情もなかなかのものだった。

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