映画「釣りバカ日誌」2
「釣りバカ日誌・ファイナル」の中で、浜ちゃん(西田敏行)が釣りを
教えた少年の父親である常務(岸部一徳)に面白い話をする場面
があった。浪人中の息子の引きこもりに悩む常務に対して、浜ちゃ
んは、優秀な父親には今の息子の気持ちはわからないという。
「忠臣蔵の赤穂義士は47人だが、浅野の家臣は200人以上いた。
討ち入り後、武士の鑑とされた47人に対して、残りの家臣はどんな
気持ちで生きたか」がわからないと息子の気持ちは理解できない」
と浜ちゃんは言う。
なぜ、面白い話と思ったかというと、最近読んだ『義にあらず』(鈴木
由紀子)は吉良上野介の妻の立場からみた小説で史実と「忠臣蔵」
の違いを読んでいたからだった。
その小説では、松の廊下で梶川与惣兵衛と立ち話をしている吉良
上野介に後ろから浅野長矩内匠頭が斬りかかった。「忠臣蔵」で流
布されているそれ以前の上野介のいじわるは根拠がないことで単な
る浅野長矩の乱心による殺傷事件である、ということだった。
被害者である吉良上野介が主君の仇と呼ばれる理不尽さを小説は
描いている。
小大名が即日切腹させられ、相手は高家筆頭の名門であり、大名
の上杉家が後ろ盾(上野介の実子が上杉綱憲)にいることから、元
禄時代だからこそ幕府の処置に抗議するかたちに世論は喝采を送
ったのである。その世論に流されて幕府の方針は揺れる。
討ち入り後、上野介の子・義周(上杉綱憲の次男で上野介の孫)は
討ち入りの際に自ら重傷を負っているにもかかわらず父親を守らな
かったという理由によって、領地没収、諏訪・高島へ配流の処罰を
受け、配流先で数年後に死亡して、吉良家は滅亡する。
上杉綱憲と上野介の妻も「討ち入り」の翌年に亡くなっており、世論
ファシズムの犠牲になった吉良家に痛ましさを感じた。
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