『生きて還る』小林信也(集英社)

野球とは、「生きてホーム(家)に還る」スポーツ、と小林信也は言う。
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日本ではアウトを死と訳し、いまも当たり前に使っている。当たり前に
なりすぎて麻痺しているが、野球には死が満ちあふれている。野球は
二十七の死(アウト)を積み上げるゲームだ。
その死ひとつひとつをどれほど尊重しているだろうか。
アメリカの野球では、犠牲バントを多用しない。時には犠牲バントもす
るが、日本に比べたらずいぶん少ない。
日本では、高校野球に代表されるとおり、無死一塁、無死一、二塁と
いった場面では犠牲バントのサインが監督から選手に送られる確率
が高い。打者の意志ではなく、ベンチの指示で打者は死を求められる。
もしサインどおりに動かなければ、次の試合から外されても仕方がない
と認識されている。「監督の指示は絶対」「サインに従い、自ら犠牲にす
るのがチームプレーの基本だ」との了解があるからだ。
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「フォア・ザ・チームとは、《チームの勝利に最善を尽くすこと》である。
ひとつの死を相手に献上し、走者をひとつ進めることが本当に野球に
おいて最善の貢献だろうか」と続ける。
『生きて還る』は、完全試合投手となった近鉄パールズ(バッファローズ
の前身)の武智文雄の生涯を描いたノンフィクションです。
武智文雄は、岐阜商業で甲子園を目指していた時に戦時下で甲子園
大会が中止となり、16歳で海軍航空隊に志願する。
神雷特攻隊員として突撃するはずだったのに8月15日を迎えてしまう。
戦後、数年のブランクを経て、社会人野球からプロ野球選手になる。
アンダースローの技巧派投手として通算100勝を達成し、完全試合投
手でもある。パリーグが7球団の時に、シーズン途中で最下位チームは
廃業すると決定する。年間132試合で残り47試合という近鉄は最下位
で6位との差は10ゲームだった。
これを大逆転で6位となる過程は読んでいて面白かった。
著者の小林信也さんも高校球児だったところがミソです。








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