『ヒトラーの試写室』松岡圭祐

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最近、松岡圭祐さんの本を読んでいます。
表題の文庫本もとても面白かった。戦前の映画「新しい土」製作に関わった柴田彰
(実在のモデルがいる?)の物語です。「新しい土」は、日独合作映画で原節子を有名
にした映画だそうです。
柴田彰は、円谷英二の下で特撮に従事して火山の爆発を見事に成功させる。
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円谷は、火山の模型に砂と塩を注いで、ひっくり返すことで火山の爆発に見えるよう
に撮影した。後に、「ハワイ・マレー沖海戦」の特撮を担当し、「タイタニック号遭難」を
撮影していたドイツにその技術を見込まれて協力を要請され柴田彰を派遣する。
「新しい土」と「ハワイ・マレー沖海戦」の特撮シーンを見ましたがさすがです。
小説の中でナチス・ドイツの宣伝相ゲッペルスが語る場面があります。
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「忌まわしきフロイトはただ一点、傾聴にに値する概念をしめした。無意識だ。理性に
守られた本能の領域を、無意識と呼ぶ。どうやら人は感情を大きく揺さぶられると、理
性が働きを鎮めるらしい。受動的になっていることが前提であるが」
ヒンケルが同意をしめした。
「映画による大衆心理の誘導は科学です。暗闇でスクリーンを眺めるのは受動的な姿
勢そのものです。視覚と聴覚を通じ、上映開始直後は理性にうったえる写実的イメージ
を送り込み、映画が進むにつれ本能的欲求に働きかける空想的イメージを強めていき
ます。終盤で観客が泣きだすのは、それだけ理性が機能を失い、本能的になっている
証しです。見聞きする情報に対し、理性的に検閲できず、子供のごとく示唆を受容しや
すい心理状態に陥ります」・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・。
ゲッペルスは椅子に腰かけた。
「発端には閃光が効くようだ。強烈な光を放てば人は瞬時にも思考を放棄し、しばし受
動的になる。党大会の冒頭に花火をあげるのもそのためだ。わが省が検閲する映画に
は、最初のシーンに稲光など明滅をいれさせている。重要なメッセージを伝えるのは終
盤だ。大衆が最も本能的になった状態を狙う。本来は理性が反発するような、矛盾をは
らんだ示唆も受けいれられる。総統も演説ではそのように工夫しておられる」
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テレビや映画を見るときには気をつけたいものです。



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