言葉に魂がある

今日の中日文化センターの講座は保阪正康さんの「昭和史講座」でした。
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この講座のテーマは、天皇論です。先日、NHKスペシャルで初代宮内庁長官の田島道治が昭和天皇とのやりとりを「拝謁記」として残していたことを取り上げていました。その中で印象的だったのは、昭和天皇が独立回復時に出す国民に向けての声明に「反省」を盛り込むことに強く拘ったということでした。結局は吉田茂の反対で声明は発表されなかったのですが昭和天皇が大東亜戦争に対する「反省」があったことがわかった史料でした。保阪さんは、昭和天皇の「反省」と私たち国民の「反省」の意味は違っているとコメントしていました。
その上で、8月15日の全国戦没者追悼式における「天皇のお言葉」について興味深い説明を聞きました。
「天皇のお言葉」の構造は、①戦没者に対する悲しみの表明、②今日の平和と繁栄の表明と感慨、③戦没者の追悼と世界の平和と日本の発展の祈念、となっています。保阪さんは、「天皇のお言葉」は限られた字数なので一語一語が言霊になっていると言います。
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平成30年8月15日
①本日、『戦没者を追悼し平和を祈念する日』に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの 人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
②終戦以来既に73年、国民のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、苦難に満ちた往時をしのぶとき、感慨は今なお尽きることがありません。
③戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、ここに過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

令和元年8月15日
①本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの 人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
②終戦以来74年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。
③戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、ここに過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
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①は、まったく同じです。②は、《国民》と《人々》と微妙に違います。そして、《苦難に満ちた往時をしのぶとき》と《多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき》と書いてあることを保阪さんは「しのぶとき」は当事者性があり、「思うとき」は歴史となっていると言っていました。そして、③で《深い反省》と両者が使っていることの重要性を指摘していました。保阪さんによると「深い反省」とか「哀悼の意」といった語が用いられるようになったのは1993年の細川護熙首相のときからで、民主党・野田政権まですべての内閣で用いられてきたらしい。(その中には、第一次安倍政権も含まれています)
ところが、2013年の第二次安倍政権から「深い反省」は使われなくなったのです。そして、2015年から平成の天皇の挨拶に「深い反省」が使われるようになりました。

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