読書『宝島』真藤順丈

アメリカ海兵隊岩国基地所属の海兵隊機事故の調査報告書に、飛行中に読書をしたり自撮り写真があったり、薬物乱用とぞっとするようなことが指摘されているらしい。最近、読了した第160回直木賞作品の『宝島』真藤順丈(講談社)の中に沖縄返還前の米軍諜報機関の官僚・アーヴィンが海兵隊員について次のように述べる場面がある。
----------------------------------------------------------------------
わたしたちの本国でも帰還兵、とりわけ海兵隊員の犯罪は社会問題になっているとアーヴィンは言った。彼らの出身地はわたしの故郷のノースカロライナをはじめとする貧乏な州ばかりで、若い男たちは日雇い労働者になるか犯罪者になるか、海兵隊員になるかしかないと言われている。粗暴な男たちばかりだけど、そんな彼らも兵士としては優秀だ。そもそも教養があって、法や人権を重んじられる人間は兵士に向いていない。素朴な田舎者をためらいなく敵を殺せる機械に変えるのが軍隊というところだから。世界のどの戦場でも最前線に送り込まれる海兵隊員は、そのあたりをみっちりと叩きこまれる。この島にいる米兵の四分の三は、その海兵隊員なんだよ。
-----------------------------------------------------------------------
50年前の海兵隊員と現在は違いがあるというものの「教養があって、法や人権を重んじられる人間は兵士に向いていない」という指摘は正しいのではないでしょうか。

『宝島』は、戦後の沖縄で米軍基地から物資を盗んでくる「戦果アギヤー」のリーダーであるオンちゃんとその弟・レイ、幼なじみのグスクとヤマコの物語です。「生還こそがいちばんの戦果」と言っていたリーダーがある夜、一人だけ生還しなくて行方不明になる。誰もが英雄と認めるオンちゃんはどこにいるのか。ミステリーとしての評価も高い小説です。
沖縄の英雄と言えば《米軍が最も恐れた男》と呼ばれる瀬長亀次郎や屋良朝苗が登場し、「復帰協」や《コザ暴動》など沖縄の歴史の中で物語りは進んでいく。米軍機が小学校に墜落する事件も重要な場面となっている。復帰協で活躍するヤマコは教師となった当初、授業もなにもうまくいかなくてすっかり自信をうしなっていく。しかし、あることをきっかけに教師としてやっていくことに生きがいを感じることになる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
だけど準備や計画に寄りかからず、教師としての理想像にこだわらずに臨んだときほど、児童からの反響があった。路地裏でリラックスしているときのように、驕らず、気負わず、子どもたちの世界をひろげるかもしれない知識を伝えることに無心で臨んだらいい。そんなことはだれも教えてくれなかったけど、たぶんそういう心得は教わって身につくものじゃない。良い教師になるには良い教師になろうとしないことが肝心なのかもね。

教員たちに《沖縄の校長先生》と呼ばれる屋良朝苗の主催する勉強会にも通いつめて、反米ビラや政府宛の要望書をつくるようになったヤマコは《沖縄県祖国復帰協議会》の創立にもたずさわることになった。教職員会を世話役として政党や労働組合、民間団体を合流させた超党派組織《復帰協》が旗揚げされたのも、これまでの土地接収や米兵犯罪でたまりにたまったアメリカ世への反感が、史上最悪の米軍機墜落事故でいよいよ臨界点を越えようとしていたからだった。こうしてアメリカの施政から主権を奪いかえし、日本の県のひとつだったころに戻ろうという《本土復帰運動》の狼煙が上がった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
沖縄が本土復帰しても沖縄の人たちの意思を無視するように「米軍基地」は拡充されていきます。
001.JPG
先日、首里城が焼失して日本中の人たちが沖縄の魂を再建しようと募金活動に応えているニュースを見ていて、私は辺野古基地問題にももっと関心を持って欲しいと思いました。辺野古の海は、沖縄の魂です。辺野古を埋め立てるということは沖縄の魂を殺すことになっています。辺野古の海が燃えているのです。
辺野古埋立.jpg

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント