憲法記念日の社説

今日は、憲法記念日です。全国紙を中心とした主要新聞の社説を読んでみました。その前に、昨日の朝日デジタルの記事を引用します。
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3日の憲法記念日を前に、朝日新聞社は憲法を中心に全国世論調査(郵送)を実施した。国会での憲法改正の議論を急ぐ必要があるかを尋ねたところ、「急ぐ必要はない」72%が、「急ぐ必要がある」22%を上回った。安倍晋三首相は改憲議論の加速を訴えてきたが、有権者の意識は高まっていない。
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 自民支持層の64%が「急ぐ必要はない」と答え、「急ぐ必要がある」は32%だった。無党派層では「急ぐ必要はない」75%、「急ぐ必要がある」18%だった。
 憲法を変える機運がどの程度高まっているかを4択で尋ねると、「大いに」2%と「ある程度」19%を合わせた「高まっている」が21%(昨年調査は22%)に対し、「あまり」58%と「全く」18%を合わせた「高まっていない」は76%(同72%)だった。
 自民党が改憲案に盛り込んだ「緊急事態条項」も尋ねた。大災害時に内閣が法律に代わる緊急政令を出し、国民の権利を一時的に制限するなどの「緊急事態条項」の創設について3択で聞くと、「いまの憲法を変えずに対応すればよい」57%(同55%)、「憲法を改正して対応するべきだ」31%(同28%)、「そもそも必要ない」8%(同10%)だった。
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 自民支持層では「憲法を変えずに対応」51%、「憲法を改正して対応」42%、「そもそも必要ない」4%だった。いまの憲法を変える必要があるかどうかを尋ねると、「変える必要がある」43%(同38%)、「変える必要はない」46%(同47%)とほぼ並んだ。9条を変えるほうがよいかどうかについて、「変えないほうがよい」は65%(同64%)を占め、「変えるほうがよい」は27%(同28%)。自民支持層は「変えない」53%、「変える」40%に対し、無党派層は「変えない」72%、「変える」20%だった。
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 いまの日本の憲法が全体としてよい憲法かと聞くと、「よい憲法」63%(同62%)、「そうは思わない」27%(同25%)だった。この調査が始まった2013年以降、「よい憲法」が一貫して過半数を占める。

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さて、今朝の新聞社説で産経新聞は、『憲法施行73年 緊急事態条項が必要だ 危機を克服できる基本法持て』と露骨に主張しています。
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 新型コロナウイルスの感染拡大という国難に見舞われているさなか現憲法は施行73年を迎えた。新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、思いもよらない大きな災厄が日本全域を突然襲うことがある、という厳しい現実を知らしめた。危機を乗り越えられる憲法になっていないことを痛感する。不断の見直しを図り、必要なら改正をためらってはならない。ウイルス禍に直面した国民の間で憲法に緊急事態条項を備えることへの関心が増したのは当然のことだ。

現憲法の下でも緊急事態に対処する法律は存在する。新型インフルエンザ等対策特別措置法や災害対策基本法、原子力災害対策特措法、警察法に緊急事態の規定がある。武力攻撃事態では国民保護法などに基づき自衛隊などの権限が拡大する。日本には今、ウイルス禍への緊急宣言と、福島第1原発事故に伴う原子力緊急事態宣言の2つが発令中だ。
 これら特措法上の宣言は、多くの国が持つ憲法上の緊急事態宣言とは似て非なるものだ。政府の権限が弱すぎて思い切った政策を打ち出せない。災対法上の緊急事態であれば限られた範囲で緊急政令だけは可能だが、東日本大震災ですら宣言は出されなかった。

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読売新聞は、「非常時対応の論議を深めよう」と題して「非常時への備えを定めておくことは、国の責務である。与野党は、憲法のあり方に踏み込んで論議を深めるべきだ」と改憲応援団であることを冒頭に述べています。
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自民党は2018年にまとめた4項目の憲法改正案で、緊急事態条項の創設を提案した。異常かつ大規模な災害で、国会を開けない場合、政府が法律と同じ効力を持つ政令を制定できる内容だ。緊急事態には迅速で適切な対応が求められる。憲法に基本原則を規定したうえで、法律で政府権限の内容や手続き、歯止めなどをあらかじめ明記しておくのは、法治国家として当然だろう。超法規的な措置で、人権侵害や行き過ぎた私権制限が起きるのを防ぐためにも重要ではないか。

中国や北朝鮮の軍事的脅威は高まる。国と国民を守る自衛隊の役割は重要性を増している。自衛隊の根拠規定を憲法に明記し、一部に残る違憲論を払拭するための9条の改正にも取り組まねばならない。自民党は国民に対して、改正内容と意義を粘り強く訴えることが大切だ。

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果たして、安倍政権の施策が《迅速で適切な対応》でないのは憲法の所為だと言いたいのでしょうか。
改憲派である産経新聞や読売新聞に対して護憲派である毎日新聞は、『新型コロナと憲法 民主主義を深化させよう』とし、この新型コロナウイルスへの対応が「日本の民主主義社会の成熟、強さが問われている」と書きます。
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現行憲法は、軍部の暴走と国民の思想統制を許した明治憲法への反省から、国家に大きな強制力を与えることに慎重な仕組みになっている。人権は「公共の福祉」に反する場合に制限されることはあるが、適用は抑制的でなければならない。
 緊急事態条項は一歩間違えれば、基本的人権の尊重など憲法の大事な原則を毀損(きそん)する「劇薬」にもなる。

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そして、朝日新聞は、『コロナ下の安倍政権 憲法に従い国民守る覚悟を』と護憲を重視し、「まずは生存権の保障」が大事と主張し「いま安倍政権がなすべきは、憲法を変えることではない。憲法に忠実に従い、国民の命と生活を確実に守ることである」と結びます。
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「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」。憲法は25条1項のこの条文により、国民の生存権を保障している。続く2項は、社会福祉や社会保障とともに「公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と国に義務づける。

生存権が脅かされるほどではなくても、すべての国民が外出自粛や休業、休校によって、22条や26条が保障する移動や営業の自由、教育を受ける権利などが制限されている。罰則を伴う強制的な命令によって外出などを禁じている欧米諸国とは異なり、日本ではあくまでも「要請」という国民へのお願いが基本だ。
 多くの国民は感染拡大を防ぐためにはやむを得ないと考え、自発的な意思によってこれを受け入れてきた。首相が求める「人との接触8割減」が必ずしも達成されていないにしても、一定の効果は上げている。
 同調圧力を受けやすいといった日本人の性質がいい方向に作用している面はあるだろう。一方で、それとは裏腹の落とし穴もある。「子供が公園で遊んでいる」と警察に通報されたり、営業する店にいやがらせが続いたりする例が各地から伝えられる。それぞれの事情をかえりみず、いたずらに他者を監視し、傷つける行為は、いまの憲法がもたらした最大の価値とされる13条の「個人としての尊重」とも相いれない。

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中日新聞は、『コロナ改憲論の不見識 憲法記念日に考える』とコロナに便乗した改憲論を批判します。「緊急事態条項とは何でしょう。一般的には戦争や大災害などの非常時に内閣に権限を集中する手段とされます。暫定的に議会の承認が省かれたり、国民の権利も大幅に制限されると予想されます。明治憲法には戒厳令や天皇の名で発する緊急勅令などがありました。憲法の秩序が一時的に止まる“劇薬”といえそうです」と緊急事態条項の危険性を指摘しています。そして、政府は東京五輪・パラリンピック開催にこだわっていたから新型コロナウイルス対策は後手後手で危機感ゼロだったのではないかと批判しています。そして、長谷部恭男・早大教授のコメントを紹介して「《非常時》とは口実だ」と手厳しく指摘しています。
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「不安をあおって妙な改憲をしようとするのは、暴政国家がよくやることです」「大型飛行機が墜落して、国会議員の大部分が閣僚もろとも死んでしまったらどうするかとか、考えてもしようがないこと」
 確かに「非常時」に乗じるのが暴政国家です。ナチス・ドイツの歴史もそうです。緊急事態の大統領令を乱発し、悪名高い全権委任法を手に入れ、ヒトラーは独裁を完成させたのですから…。

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そして、明治憲法にあった緊急事態条項を採り入れなかった日本国憲法について、憲法担当大臣だった金森徳次郎の答弁を紹介しています。
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 <民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するには、政府一存において行う処置は極力、防止せねばならない><言葉を非常ということに借りて、(緊急事態の)道を残しておくと、どんなに精緻な憲法を定めても、口実をそこに入れて、また破壊される恐れが絶無とは断言しがたい>
 いつの世でも権力者が言う「非常時」とは口実かもしれません。うのみにすれば、国民の権利も民主政治も憲法もいっぺんに破壊されてしまうのだと…。金森答弁は実に説得力があります。 コロナ禍という「国難」に際しては、民心はパニック状態に陥りがちになり、つい強い権力に頼りたがります。そんな人間心理に呼応するのが、緊急事態条項です。 しかし、それは国会を飛ばして内閣限りで事実上の“立法”ができる、あまりに危険な権限です。

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そして、「ひどい権力の乱用や人権侵害を招く恐れがあることは、歴史が教えるところです」と書き、法律で対応は可能だと主張しています。

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