『始まりの木』夏川草介(小学館)

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『神様のカルテ』の夏川草介さんが医者ではない新しいキャラクターを登場させました。藤崎千佳は民俗学を学ぶ大学院生です。指導教官は偏屈な民俗学者・古屋神寺郎でフィールドワークと称して全国各地を旅する。青森、京都、長野、高知、東京での5つの物語がある。
『始まりの木』は、長野県伊那谷にある大柊に関わる物語です。古屋神寺郎は、誰もが一目置く研究者でありながら、学会では異端児として変人扱いされ、大学内でも孤立していていつ追放されるか分からない存在です。事故で杖を突かないと歩行が困難な身体障害者となったらしい。
藤崎千佳は、そのための荷物持ちとしていつもフィールドワークに付き合っている。
古屋は、柳田國男が日本の貧しさの理由を調べようとして学問を始めたとしても、今の日本は経済大国だから、なぜ先生は民俗学者になったのですか、という藤崎の質問に対して「この国は確かに金銭面では豊かになった。だが、平然と桜の大樹を切るような国になったことも事実だ。金銭的な豊かさと引き換えに、精神はかつてないほど貧しくなっている。私には、この国は、頼るべき指針を失い、守るべき約束事もなく、ただ膨張する自我と抑え込まれた不安の中でもだえているように見える。精神的貧困状態とでも言うべき時代だ」と言う。
《神様を探す二人の旅が始まる》というこの二人のこれからの旅が愉しみです。

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