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zoom RSS 出口のない海

<<   作成日時 : 2006/08/06 21:55   >>

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『出口のない海』横山秀夫(講談社文庫)を読んだ。
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「心して聞け!」
一歩進み出た剣崎が、出撃して戦死した隊員たちの遺書や時世の句を読み上げた。部屋は静まり返った。「貴様らは、なぜこうできんのだ?」馬場の低い声が、五人の出撃隊員の心に冷たい手を突っ込んだ。「いつの出撃でも、一本や二本、おめおめと帰ってくる奴がいる」沖田は目を見開いた。まさか、俺たちのことを言っているのか・・・。馬場が声を荒らげた。「貴様らよく聞け!鉢巻を締め、日本刀を翳し、みんなに帽子を振られて得意になって出ていくだけが能じゃないんだ!出ていくからには戦果を挙げろ。スクリューが回らなかったら、手で回してでも突っ込んでみろ。わかったか!」五人が五人とも背中をくの字に曲げ、歯を食いしばり、体をわなわなと震わせていた。みんな出撃経験のある隊員たちなのだ。すぐ隣の仲間に出ていかれ、そのスクリューを特眼鏡で目にし、敵艦とともに爆砕するその音を聞いてきた隊員たちなのだ。それを・・・・。部屋に戻った沖田は悔し涙をこぼした。「・・・スクリューを手で回せだとぉ?チクショウ! ふざけたことを言いやがって!」傍らの桜井がいきりたった。「あれが上の本音なんだ! こいつらまた帰ってきやがって。俺たちをそう見ていたんだ!」他の隊員も次々と立ち上がった。「そうさ、命が惜しくて、俺たちが自分で回天をぶっ壊したと思ってやがるんだ!」
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さすがは横山秀夫である。野球とからめた特攻隊員の心理描写がすばらしい。9月16日に映画が公開される。

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